私がつい‘あとで’と口にしてしまうのは、決まっていつも、しようと思えばいつでもできそうなことに対してだ。沢山ある‘・・・, いつでも出来そうなこと’の一つは、Jaunt!(ミニ旅)。気晴らしに普段の行動範囲外の場所へ行くと、比較的近い場所でも旅をしているような気分になる。
そんなミニ旅をすることがここのところぐっと減っていたこともあり、今回は、郊外にあるウィリアム・モリスギャラリーに行った時の地域性のあるはなし。
【ウィリアム・モリス ~デザインの原点を求めて~】
モリスギャラリーは、市内中心地を縦断する地下鉄ヴィクトリア線の北の終着駅から徒歩数十分の道沿いに位置している。美術館は、モリスの家族が1848~56年までを過ごしたレンガ造りの家で、道路沿いには高いゲート、そして建物の裏手には手入れされた公園がある(色とりどりの花々がきれいだった(^-^))。
モリスと言えば、有名なのはやはりパターンデザインとステンドグラス製作者としての顔だろうか。
館内には、主にモリスのデザインした模様画(鉛筆での下書き+色彩したもの)と、そのデザインをカーペットやカーテンに転写した作品、それにモリスに関連した人物の作品と彼自身に関する資料が展示されている。
中でも特に感動したのは、パターンの原画を見ることができたこと。残念ながらリバティのクラシックラインにある有名なパターン (Strawberry Thief/いちご泥棒)の原画はここにはなかったものの、展示されている分だけでも十分満足できる。
作風はアールヌーボー調で、動植物を中心に柔らかな曲線が美しいデザインが非常に多い。
調べてみると、モリスはアールヌーボーに後々影響を与えることとなる美術工芸運動を起こしたことで有名なようで、芸術と生活を一致させようとしていたとか。こういった動きは未だに多くあるな~。
大学で現代美術を専攻していた友人が美術史の予習用にと政治学の本を読んでいた時に、「なんで政治なの?」とアホなことを聞いた私。無知だったな~。
政治以外にも、経済・思想の発展や社会学等々、作品に影響を与える外的要素は無視することが出来ない。モリス自身の歴史を紹介する中に、彼の政治的活動についての展示があったのだが、知らなかったことだらけで興味深いものであった。
彼は著書である「ユートピアだより」の中で、彼の生きた時代のおよそ100年後の2003年、その世界にお金は存在しないと記しているけれど、自分の会社を持っていた彼からそういう言葉が出てくるのはおもしろい。なぜそういう考えに至ったのか等々細かい歴史はこれから学ぶとして、今回は、百数十年前彼も立った地に自分も立つことが出来て、嬉しさ倍増↑↑&益々彼の作品に興味が沸いた。